広島原爆による放射能の研究: 2.フォールアウト(降下物)の放射能測定

 

広島原爆による放射能の研究:
2.フォールアウト(降下物)の放射能測定

◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆

Studies of radioactivity produced by the Hiroshima Atomic Bomb : 2. Measurement of fallout radioactivity
広島原爆による放射能の研究:2.フォールアウト(降下物)の放射能測定

HIROMI HASAI 広島大学工学部
J. RADIAT. RES, SUPPLEMENT, 32-39 (1991)

広島原爆の放射能を曝びた石と屋根のタイルが1987年12月に広島大学理学部の建物の中から見つかった。1945年の10月27日か ら12月3日にかけて、爆心地から1.5kmの範囲内から集められたサンプルで収集日と収集場所が正確に記録されています。30地点44サンプルはこの様 に集められました。これらのサンプルは核実験による放射性降下物(フォールアウト)の影響を受けておらず、セシウム137の測定には貴重です。ゲルマニウ ムで測定された。

広島の爆心地でのセシウム137測定の結果は、爆心地にはほとんどセシウム137の降下が少なかったということです。44サンプルの内、わずか5サンプル のみが検出限界を超えたにすぎません。その5サンプルのセシウム137もセシウム137の崩解を考えて補正しても、1.3ミリベクレル/cm2です(訳 注.13ベクレル/m2、飯館村で148万ベクレル/m2)。ほとんどすべての核分裂生成物が爆心地の外側に落ちたということを、この事実は意味していま す。累積線量でセシウムに換算すると、37ベクレル/m2に相当します。この値は、爆心地での中性子による被曝の0.13%にしか相当しません(訳注.広 島原爆による放射能被害は、爆発による中性子によるものがほとんどで、放射性降下物(セシウムの様な)の割合が、ほとんどないという特徴があります)。

この値は、核実験によるフォールアウト(放射性降下物)のセシウム-137の値の4%以下にしか相同しません。それで、核実験が始まる前のサンプルでしか (広島原爆による)セシウム-137の値を測定することができません。チェルノブイリ事故の影響を調べる大規模疫学調査が進行しています。これらのチェル ノブイリの研究で内部被曝とフォールアウト(放射性降下物…訳注.主にセシウム137)の関係が理解が進めば、広島原爆被曝生存者のリスクを評価する際に 有効になるだろう。(現在のDS86には内部被曝のリスクは入れられてない)(訳注.DS86.広島原爆での被曝量推定)

解説

僕もこの論文を読むまでは、広島原爆による内部被曝の推定値がこれほど低いとは、はっきり実感できていませんでした。一平方メートル当 たり、13ベクレルとか37ベクレルとか、他の論文では493ベクレル(未確認)とかです。飯館村で148万ベクレル/m2、千葉県柏市でも6万‐10万 /m2、ビキニでの水爆実験では(ブラボー水爆で)、ロンゲラップ島で48万ベクレル/m2が最高値です。福島県の上空で水爆が何発も爆発したかの様な値 なのです。広島原爆の被曝には内部被曝が「無かったもの」にされています。無かったのなら、内部被曝については分からないとするのが正しい態度ではないで しょうか。人類は、チェルノブイリで初めて巨大な内部被曝を経験したのです。まだ25年しか経っていません。



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