チェルノブイリの鳥の脳は小さい

◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆    

Chernobyl birds have smaller brains
チェルノブイリの鳥の脳は小さい

Ander Pape Moller パリ-SUD大学
PLOS one February 2011 volume 6 issue 2

脳には多くの脂質が含まれているので、酸化的ストレスによって発達が阻害される。脳が大きい人は、神経のイオン輸送、神経伝達物質の合成、毒物からの防御などで高レベルの酸素を絶えず供給し続ける能力があるに違いない。

このことが、脳を酸化状態にさらし、グルタチオンの様な抗酸化物質を大量に必要としている。それゆえ、抗酸化物質が少ない環境条件や抗酸化物質を大量に使ってしまう条件では、正常な脳の発達に危険が伴なう。

その様な条件に高レベルの放射能が酸化的ストレスを生じている。チェルノブイリの様な極端な環境がある。そこでは、抗酸化物が大量に必要とされるので体内の保存、循環している抗酸化物が減少している。

放射線にさらされた人の神経系の発達が、脳の大きさの減少と脳への傷害などの傷害をもたらしているという証拠は数多くある。

低レベルの放射線は、中枢神経や自律神経などに変化をもたらし、放射性脳傷害を起こしうる。
脳波研究では、脳の構造と認知障害が明らかにされている。

ヤブロコフは、チェルノブイリ事故後の放射線の認知機能への影響の多くの文献をまとめた。しかしながら、チェルノブイリ事故後の放射線の心理的影響は、発達障害よりもポストトラウマストレス(PTSD)(訳注.トラウマの後に起こる心理的障害)のせいにされており、神経管欠損(訳注.先天奇形の1種)も低レベル放射線、葉酸不足、母親のアルコール摂取による奇形が原因にされている。

驚くことに、チェルノブイリ事故時にスカンジナビア諸国(スウェーデン・ノルウェイ)の汚染地域で胎内被曝した子供達が、高校での出席率の低下、成績の低下、知能指数も非汚染地域の高校生より劣っていることが報告されている。そこで私達は、チェルノブイリ近辺の放射能が異なる所に住んでいる鳥の脳の大きさが減少しているかどうか検証してみた。

この研究の利点は、放射線による脳の大きさの減少は、ヒトの様にはトラウマ後ストレスのせいにはできない点にある。

方法

2010年、48種550羽の鳥をチェルノブイリ周辺(45km圏)(放射能値が異なる)で捕獲し、脳の大きさを比較した。

結果

放射能値と脳の大きさには、負の関係があった(訳注.放射能値が高い所の鳥のほうが脳が小さい)。それは、体重とは関係なかった。
放射能値(訳注.0.02マイクロシーベルト/時〜100マイクロシーベルト/時)の5000倍異なっている中で5%の脳の大きさが減少していた。脳の大きさのみが変動していた。

結論

低レベル放射能は、脳の発達を傷害し、認知機能にも影響する可能性がある。

解説

福島第1原発事故で放射能の危険性について連日報道されており、そのほとんどは「安全です」となっている。しかし、この安全基準の基になっているのは、広島・長崎の原爆の被曝者データなのです。広島・長崎の被曝は、ほとんどが外部被曝で内部被曝についてはわからないことが多く、推計している部分が大きいのです。

その点、チェルノブイリ原発事故は、内部被曝の部分が大きいのですが、1986年に起きた事故なのでまだ25年もたっておらず、データが少ないのが現状です。チェルノブイリ事故での影響は、小児甲状腺ガンに関しては、だれもが認めざるをえない状況で、いまだに患者が増えています。

それ以外の白血病などでは、国際放射線防護委員会(ICRP)などは、認めていないのが現状です。しかし、イギリス、ドイツ、ギリシアなどの研究では事故時に胎児だった子供が小児白血病をより多く発症しているという研究もあり、現在のICRPなどの安全基準を疑わせるものになっています。国際機関や国は、断定的に「安全だ」と言いますが、実は、低線量内部被曝に関しては、「データが少ない」のが現実です。そもそもICRP、IAEAなどは放射能利用の立場から作られた国際機関です。今回の論文は、2010年に捕獲した鳥の脳の大きさと放射能値を比べた実験です。

現在の福島第1原発(3月25日)の放射能値(文部科学省)でみると、20kmの所に92.5マイクロシーベルト/時の地点があり、この実験の最大値94.6マイクロシーベルト/時とほぼ同じ値です。

この実験での最低値0.02は、原発事故の影響を全く受けていない値です。(3月25日 名古屋 0.04マイクロシーベルト/時)


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