「ハウス病」って知ってますか?

2014年6月4週号に掲載したコラムです。

ハウス栽培とはご存知の通り、野菜などをハウスを用いて栽培すること。ハウスとは鉄材などで骨組みを作り、これに塩化ビニルやポリエチレンなどのフィルムをかぶせた作物栽培用の建物(ビニールハウス)をいう。降雨による農作物への影響を防ぐためだけの目的で上面だけ覆うものもあるそうで、それは雨よけ栽培と言うそうだが、通常ハウス栽培と言えば全てをフィルムで覆うものを指すことが多く、つまり温室での栽培を意味する。
 ハウス栽培の利点は、天候に左右されず、常に品質を保てる、寒い冬でも夏野菜が作れるなどだそうだ。ビニールハウスの設置面積は昭和40年代頃から増加を続け、今は高止まりの状況。生育期間中、石油ヒーターによる温風暖房などを利用して加温する場合、余分な経費がかかることになるので生産コストに跳ね返るが、それでも市場では高値で売れるので露地栽培だけの農業より収益を上げることが可能で、取り組む人が多いそうだ。ここまでなら何となく想像ができる。
ところが、ハウス栽培には問題もあるらしい。その一つが「ハウス病」と言われるものだ。大きく分けて三つあるそうだ。一つ目は温度の問題。温度条件を人工的に調節して年間の生産可能期間を長くする結果、現実的には農繁期が長引くため、労働負担が大きくなる。さらに、ハウスの中は高温になるので、疲労が増したり、外との温度差が大きいために、血液循環の障害を引き起こすことがあるらしい。
二つ目は農薬の問題。高温のため害虫が付きやすくなるので、どうしても農薬使用量が増える。ハウスの中では空気が循環しないために、働く人が農薬を吸入したり接触したりする機会が露地栽培にくらべ格段に高く、農薬による健康被害が働く人に出ているそうだ。
三つ目は、狭さの問題。ハウス内は狭いため、ツルや葉による接触性皮膚炎になったり、無理な姿勢での労働のため、腰痛、肩こりなど様々な痛みが頻繁に出るらしい。どうもハウス内での労働は想像以上に過酷なようだ。
 
消費者が年中トマトを食べたいとか、いちごを食べたいと求めた結果が、農家をいろんな形で追いこんでいるとも言える。消費者が、見た目は悪くてもできるだけ安全でその季節のものを、正当な価格で買うようにすれば、農家は自然の中で農作業ができるようになり、ハウス病なんてものは消えるかもしれない。それが結局、農薬の使用量を減らすことにつながり、土を守ることにつながり、我々の健康を守ることにもつながる。
また、ハウス栽培は石油や電気などの燃料を使う農業で、持続可能な農業とは言い難い。そう考えると、原発をなくして持続可能な社会にするためにも、やっぱり、季節感のある旬の農産物を食べることがいかに大事なことかがわかる。
我々消費者は、料理としてテーブルに上がってしまえば、おいしいとは思っても、どうやって栽培されたものかまではなかなか想像しない。いちいちそんなことを考えるのは負担と思うかもしれないが、せめて買う時には誰が、どこで、どうやって作ったものかを確認できるものを買いたい。無農薬が一番いいが、できるだけ露地栽培の旬のものを買うようにするだけでも、少しは世の中に貢献できる気がする。
 
平成258


名古屋生活クラブ

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