ホタルのすむ水辺

2013年9月2週号に掲載したコラムです。

 先日、知り合いの有機農家さんのお宅付近にホタルがいっぱい出ると聞いたので、友人たちと一緒に見に行った。場所は愛知県新城市。山の奥の方にそのお宅はあるのだが、夜真っ暗になってからでは、外灯もなく行きつけなくなる可能性があるので、明るいうちにお邪魔した。
 まだ、ホタル出現までには時間があったので、田んぼや沢の生き物を観察させてもらった。水の中にはアマガエル、シュレーゲルアオガエル、ヒキガエル、トノサマガエル、おたまじゃくし、イモリ、沢ガニ、めだか、どじょうなど水中生物がいっぱいいて、思わず童心に返って、つかまえて遊んでしまった。私が育った所にもあの当時は田んぼやちょっとした川があって、カエルもいっぱいいて、カエルの卵を踏んでしまったり、田んぼに落っこちたりして、下半身泥だらけになって遊んだ楽しかった記憶もよみがえってきた。うちの子どもはそんな経験がないから、私がつかまえる姿をみて、「すごい」と言い、4歳と10歳の息子はこわごわ手を出し、最後には大はしゃぎ。14歳の中学生の息子は、「ノー」と言って手も出さない。小さいころからキャンプに連れて行ったりしたけれど、日々の生活で自然に触れていないから、年数回の経験ではダメなんだな〜と思う。
こんな素敵な遊びをさせてもらったあと、近所の川に出かけた。ゲンジボタルの食べ物は川に住むカワニナ。カワニナは川の石に付く藻を食べるそうだ。藻は太陽の光がない所では育たず、沢のような小川に太陽の光が届くようにするためには、人の手で草や木を刈る必要があり、ホタルはあくまで『里の生き物』で、自然と人間がうまく共存している所にしか生存できないと教えてもらった。新城でも農薬や川の護岸工事のため、一時期ホタルが減ったそうだが、農薬の使用回数を1回にしようという運動をして地域で農薬量を減らしたところ、ホタルが戻ってきたそうだ。
農薬を使用した田んぼも見せてもらった。田植えの後で、稲はきれいに並んでいた。ヒルとアメンボしかいない。さっきの無農薬の田んぼとは明らかに『豊かさ』が違った。カエルの声がしていたので、カエルはどこかにいたと思うが、無農薬の田んぼのようにどこにでもいるという感じではなかった。最近は苗箱処理と言って、田植えする前の苗箱にネオニコチノイド処理して根から吸わせるので、その葉っぱを食べた虫が死んだり、根っこ付近にいる水中生物が死んだりするようだ。1回だけなのにこんなに違うものなのかと驚いた。ネオニコチノイド農薬は『みつばち』がいなくなるのが問題になっているけれど、それだけの問題ではない。『トンボ』もいなくなっているそうだし、明らかに『水中生物』もいなくなっている。みつばちがいなくなれば、蜂蜜も採れないけれど、受粉もできないから、実もできないし、種ができず植物も育たない。水中生物がいなくなれば上位の捕食動物の餌がなくなるということだから、食物連鎖に影響を及ぼし、結局人間に返ってくる。人間は生き物を排除するような活動をいたる所でしている。いずれは人間に返ってくるという大事な事に気付いていないから、勝手なことばかりできるのだろうか。
周りが真っ暗になってきた頃、ホタルが飛び始めた。きれいに護岸工事された所にはホタルは少なく、草がある所に多くいた。暗闇にぴかっと光るから、きれいで、時間を忘れて見とれてしまった。ホタルが生きられる環境がいつまでも続いたらいいなあと思った。そばをゆっくり飛んでくるホタルもいるし、葉っぱにも止まるので、手で簡単に捕まえられた。手の中でぴかっ、ぴかっと光るホタルに子どもたちは感動。いい思い出ができた。大人になってもこの経験・感覚は覚えていて欲しい。この感覚が生きて行く上で重要なバランスとなって、間違った方向に行きそうになっても、戻って来られる気がするから。  
 
稲川


名古屋生活クラブ

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