いちごの話

先日、家族で温泉に寄ったら、50代くらいの女性4人が楽しそうに話していた。どうやら、女友達4人で旅行に来てホテルに泊まっているらしい。露天風呂で静かな環境だったから、嫌でも4人の会話が耳に飛び込んでくる。「さっき買ったいちごどうした?」「冷蔵庫に入れたよ」「いちごって最近は洗わなくていいらしいよ」「上からぶら下がっていて土に付かないから大丈夫なんだって」と話していた。え〜!うそでしょう。いちごって確かすごい農薬散布回数のはず。『たねまき』に50剤くらいって載っていた気がする。この人たちは農薬を全く気にしていない。農薬よりも土が付くことを気にしている…。絶句してしまった。かといって、知らない人に農薬の話をする勇気もなく、そのまま放置したけれど、一般の人の意識はこんな程度なのか〜と若干ショックだった。
 いい機会だと思い調べてみた。いちごは病気に弱く、一年を通じて農薬を全く使わずに育てることはとても難しく、日本で完全無農薬栽培をしている農園はとても少ないことが分かった。通常農薬使用回数は60回以上。なるべく収穫期には農薬を使わないよう努力している農家もいるらしいが、収穫期に入ってからも灰色かび病防除農薬やうどんこ病防除農薬の使用を国が認めているため、全く無頓着な農家も多いらしい。いちごは他の多くの果実とは異なり散布液を遮る果皮がないのに加え、果実表面は散布液が残りやすい凸凹のある形状をしているため、農薬残留量がどうしても多くなるらしい。徳島県立農業試験場での試験によると、農薬残留量は、散布方法・散布量・残留農薬試験の実施時期などによって大きく異なるため、目の前にあるいちごの残留農薬がどれくらいあるのかは一概には言えず、測ってみないとわからないらしい。一般的に言えることは、収穫期に散布した残留農薬は水洗いにより20〜50%落ちるということ。洗えばある程度は落とせる。でも、逆に言えば、洗っても50〜80%は残る。洗わなければ農薬がそのまま体の中に入るというわけだから、洗わずに食べるなんて恐ろしくてできない。最近のネオニコチノイド系の浸透性農薬は洗っても落ちないタイプだから、この話とは別に考えないといけないのだろう。昔、知らずにいちご狩りに行ってしまったが、あのいちごはどうだったのだろうと思うと怖い。いちご農園の従業員・経営者は農薬のことをどう思っていたのだろう?私たち消費者が食べている姿を見て、どう思っていたのだろう?無頓着だったのか、それとも自分は食べないけど…と思っていたのか。
 幸い、名古屋生活クラブの会員は、志の高い生産者のおかげで、無農薬のいちごが食べられる。少々高価かもしれないが、年数回のお楽しみと思えば、そんなに高価でもない。むしろ、農薬代が上乗せされた市販のいちごの方が割高なのかもしれない。
 あのご婦人たちの中に1人でも農薬について多少の知識がある人がいたならば、話の展開はまるで違ったことだろう。知識のある名古屋生活クラブの会員には、友人に伝える使命がある、とまでは言わないが、伝えることの大切さは頭の片隅に置いておいてほしいなと思う。それが、子どもたちの未来を明るくすることにつながる気がする。びっくりさせず、やんわりと、でも真実を。
 あの露天風呂でのことを思い出し、「う〜ん、あの時言うべきだったか…。やっぱり言えないよな…」。知り合いでもない人に意見するのは、小心者の私にはまだまだ難しい。


名古屋生活クラブ

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