医療被曝

病院を受診し医師に「検査しましょう」と言われてどれくらいの人が断れるだろうか?たぶんほとんどの人が「はい」と答えてしまうのではないだろうか。
日本は医療被曝大国で、医療被曝の線量の多さは世界一。その量も年々増えていて現在平均3.8Sv。自然放射線2.4Svと合わせて年間約6.2Sv浴びていることになる。今回の原発事故での追加被曝が0.1mSvというのだから、事故前から受け続けている放射線がいかに大きなものかが分かる。自然放射能は勝手に降ってくるものだから、私たちにはどうしようもないけれど、医療被曝に関しては自分でコントロールできるのではないかと思い、今回は検査による医療被曝について考えてみたいと思う。
 
日本の医療は世界を見渡せば確かに進んでいるのだが、医師がアメリカに留学するくらいだから、アメリカの方がきっと進んでいて、そのために被曝線量はアメリカの方が上だろうなぁと勝手に思っていた。でも調べてみたら、日本が医療被曝線量、世界一。これは意外だった。
医療被曝といっても日本の場合、がん治療のためではなく画像診断、つまり検査による被曝がほとんどだそうだ。がんの放射線治療と聞くと日本は被曝国であるため、放射線を嫌がる傾向にあるらしく、他の先進国に比べて放射線療法を選択する人が少ないというからおかしなものだ。医療被曝の原因となる検査はX線検査(レントゲン検査)、CT検査、PET検査などだ。X線検査は昔からあるが、CTPETという言葉も、どこかで皆さんも聞かれたことがあるのではないだろうか。最近はCTPETが一体化した機器もできているそうだ。
CT検査による被曝線量は、各種放射線検査のうち多い方に入る。被曝量は検査の部位、検査方法、機器の性能や設定によって異なるが、検査によっては一回で数十mSv~100mSvを超えるX線被曝を受けることもあるというから驚きだ。PETの被曝量はCTに比べたら少ないが、CTPETの一体型ではCTを上回ることもあるそうだ。被曝線量は次の通り。胸部X0.2mSv、腹部X1.0mSv、胃バリウム検査3.18mSV、頭部CT2.49mSv、胸部CT 5.90mSv、腹部CT 6.80mSv。(出典:北里大学病院放射線部)ちなみに歯科撮影は0.020.04mSv。(出典:日本歯科放射線学会
なぜ医療被曝世界一になるかというと、CT機器の普及率が他国より突出しているのが原因のようだ。2002年頃のデータではあるが、人口百万人あたり日本は92.6台で1位、2位のオーストラリアは45.3台、3位のアメリカは32.3台。つまり日本はオーストラリアの2倍、アメリカの3倍CTが普及していることになる。この普及率の高さにより容易に、悪く言えば安易に検査を受けることが可能となっている。
検査によりがんのような大病が見つかることもあるので、なんとも言えないが、放射線の晩発性の影響も考慮すると、利益がリスクを上回る時だけ高度な検査を受けるというのが原則だろうと思う。
こんな話を先日薬局に来た患者さんから聞いた。10代の男の子が陰部が1週間痛いと言うので、ある泌尿器科を受診したら、血液検査とCT検査をされ異常なしと診断されたとのこと。1週間痛いと言っているのに異常なしとはどういうこと?と不信に思った母親はその足で別の泌尿器科を受診。ここでは昔ながらのやり方で、肛門から指を突っ込み前立腺を触診されたとのこと。その結果、前立腺が腫れていることがわかり、前立腺炎という病名が確定し、治療に必要な薬が処方されひと安心したというのだ。医師の技術的な問題もあるのだろうが、検査に頼り過ぎている傾向はなきにしもあらず。高度な検査をすればそれだけ医療費もかさむ。

検査後の医療廃棄物の問題もある。医療放射性廃棄物の処理については、ようやく動き出したばかりで、原発事故後に規制が厳しくなったそうだ。現在、汚染度の高い備品は青森県六ケ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターで陸地処分されていて、汚染度の低いものについては普通に処理されているそうだ。CTやPETを受ければ、おおげさに言えば、廃棄物を増やすことにつながる。
私たちのような素人患者が診断に口を挟むことはなかなか難しいが、「この検査はどうしても必要な検査ですか?」ということくらいは医師に聞いた方がいいかもしれない。昔は医師に意見をすることなどなかなかできなかったというのが事実だったように思う。私も薬剤師になったころ、薬の確認のために連絡を入れると口を出すなと叱られたことが何度かあった。でも最近は、医療者の認識も変わり、患者の意見をよく聞いてくれるようになったと思うし、私も仕事上で叱られることがなくなったように思う(これは年の功ということもあるが…)。
私たちが患者となった場合、恐れず「必要な検査ですか?」と率直に聞いてみたらどうだろうか。そして、具合が悪くもないのに、高度な検査を安易に受けないようにしたらどうだろう。よく考えて、それでも必要と思えば受ければいいと思う。定期検診と考えて毎年のように受ける人もいるが、不摂生をしたつけを検査で安心しようなんてことがそもそもおかしいと気付いてほしい。本当に具合が悪ければ、それは医療の力を借りなければいけないと思うが、病気の大半が生活習慣に関わることを考えれば、病気の初期段階で自分で対処すれば回復する場合が多いし、たとえ病院にかかったとしても安価で済むはずだ。
体調は日々刻々と変化する。常に一定なんてことはあり得ない。肩こりであったり便秘であったり歯の違和感であったり、変化するのが人間の体だ。体のどこかしらに誰もが弱い部分をもっている。それは人それぞれ違う。それを健康のバロメーターにして、日頃から「自分の体の声に耳を傾ける」という訓練というか努力はしておいたほうがいいと思う。平穏無事な日々を過ごしたいと思っているから、そういう勘のようなものが働く状態でいたいと思っている。私の経験からいうと、忙しすぎるとこの勘が働きにくくなるように思う。やはり、“一生懸命働くけれども休養はしっかり取って余裕を持つ”ことが大切かなと思う。


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