Cラボで放射能測定を経験してみて

先日、私が所属する“なごや国際オーガニック映画祭”の実行委員のメンバーとともにCラボにお邪魔し、3検体の測定の様子を見学させてもらった。
名古屋生活クラブの外山さんの説明によると、Cラボの機械はNaIシンチレーションスペクトロメーターというもので、機械の真ん中にヨウ化ナトリウム(NaI)があり、測定する試料の中にγ線を発する放射性物質が含まれていると、そのγ線がNaIに当たりNaIが光る。その光の強さから放射性物質の種類を特定し、光る回数をカウントして放射性物質の量を表す数値(Bq)にするという仕組みらしい。機械の真ん中にあるNaIの結晶の方向に全ての放射線が飛んで来てくれればいいのだが、放射線はどちらに飛んでいくかは分からず、機械の外に向かって飛んでいく場合はカウントできない。そういうこともあると想定して機械はカウント数を補正して値を出してくるらしい。つまり、10Bqの試料(1秒間に10回放射線が出る試料)を入れても、1秒間に10回カウントされるわけではなく、ずっと少ない数しかカウントしていないという事だ。また、放射線は一定の間隔で出てくるわけではなく、ランダムに出てくるので、誤差を含んでいる。これはサンプルから出る放射線だけではなく、外から来る放射線も同じだ。Cラボでは誤差を最小限にするために、機械の周りに厚い鉛を巻いて、外からくる自然放射能の影響を最小限に抑えるようにしたり、測定環境の変化によるずれを補正するために毎朝、塩化カリウム(自然放射能のK40を含んでいる)を測定し機械にずれが生じていないかを確認したり、周りの温度変化による誤差を少なくするため、温度管理を徹底したりしているとのことだった。Cラボの人たちの努力の上に測定がなされていることを知った。
いよいよ測定を開始するための準備にとりかかったのだが、専用容器に試料を詰めるのが大変。容器が使い捨てでないため、ビニール袋を敷いてその中に試料をぴったり1Kgになるよう詰めていく。この時、空気がなるべく入らない様に密着させて詰めていくのがポイントでこれが難関。空気が入ると誤差が大きくなるそうだ。
今回試料は、スーパーで売っていた栃木県産の豆腐、名古屋市の家庭菜園で採れた冬瓜、測定装置の精度を管理するために、Cラボで作成し、全国の市民測定所に貸し出しを行っている標準米(放射性セシウムの合計が110Bq/kgであることが確認されている2011年福島県産の玄米)。豆腐は手でつぶし、冬瓜はフードプロセッサーで砕いて、玄米はそのまま詰めた。10ベクレルの精度で測定をお願いし、各々約20分待って出た結果は、豆腐ND、冬瓜ND、玄米108Bq/kgだった。準備も含めると3検体で3時間かかった。
測定だけで10ベクレルの精度だと20分、5ベクレルだと80分かかり、更に1ベクレルだと15時間かかるそうで、測定時間だけを考えても1ベクレルの精度を求めると、とてもボランティアだけではできない作業とのことだった。今回測定してくださったボランティアさんは片道1時間かけてCラボまで来ているとのことだった。

測定してみると、測定までの準備の大変さを感じ、そして、ボランティアさんの熱意の上に成り立っている測定である事を痛感した。努力を重ねているCラボのNaI機器でも誤差がつきもので、出てきたグラフの値を正確に読み取ることの難しさはよくわかった。全品検査をうたっている企業や放射能ゼロをうたっている企業はどんな検査をしているのだろうか?と思ってしまった。ちゃんと毎日機械の補正をしているのだろうか?とか、時間的に考えると全品検査って本当にできているのだろうか?とか、ガイガーカウンターでピコピコやっているだけじゃないかとか、放射能ゼロってことはないよな〜とか、いろいろ考えてしまった。
私たち消費者は、どこまでの精度を求め、どこまでを許容するかをしっかり考える必要があるように思う。消費者が1Bqまで求めれば、苦労してでも1Bqの精度で測定はしてくれるであろう。しかし、あまり高い精度を求めれば、誤差とわからなくなってしまい何を測定しているんだかわからなくなってしまうし、お金も時間もマンパワーもかかる。企業のうたい文句にだまされないようにすることはとても大事なことで消費者として気を付けないといけないことだが、だまそうとしていない相手に対しては、費用対効果というか、そんなことまで考えて自分の中で線引きしてもいいんじゃないかなぁと思った。消費者がゼロBqを求めれば、そこに付け込んで、現実ではあり得ない放射能ゼロをうたって買わせようとする企業が間違いなくいる。だまされないためにも、やっぱり自分中での線引きは必要だと思う。
“たねまき”に「NaIシンチレーションスペクトロメーター法、C-ラボ、測定時間90分」とかって記載されているけれど、それをご覧になられた時には、測定の裏にはこんな苦労もあることを思い出していただけたらうれしいな〜と思う。
 
2013年2月 稲川


名古屋生活クラブ

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